April 04, 2008

さんぞう訳 摩迦般若波羅密多心経の一

あらかみさんぞう


観自在菩薩行深般若波羅密多時照見五蘊皆空度一切苦厄舍利子
観自在の菩薩になりなさい
観世音の菩薩になりなさい

色受想行識の五蘊を皆空と照見しなさい
深般若波羅密多を行じなさい 
迷妄を振り払いなさい さんぞう

色不異空空不異色色即是空空即是色
なんどもいうよ ここが出発点です
ペシミズムなんかじゃない これが希望の原理です

万象は空 存在は空 無常にして無我 今そこにみえるものは今そこにない
一切は縁起によって生じつつ滅しつつ移ろうingでしかない
一つ一つ出会いの編み目を結んでいるだけ  

神なんてどこにもいない
求めないではいられないけれど
支えてくれる究極の価値なんてどこにもない さんぞう

文明も現実も信念も原理原則も幻想 
自我も人格も思考も哲学も人間のつくりだす無明 
その幻想を否定する理性もまた幻想なのよ
生き物は空のままに生き 人は言葉を得る代りに永遠の無明を背負ったのよ

でもね、空は単なる「無」じゃないの
空は単なる「ゼロ」じゃないの
沙漠のように 冬の海のように 青空のように 

青空はそこに雲を孕もうとしているじゃないの
荒海は無数の生を育むことができるじゃないの
沙漠は無数の種子が雨を待っているじゃないの

よく見ればなずな花咲く垣根かな
ほらね 空がなずなを咲かせたじゃないの
空即是色 無常が反転したじゃないの 無から有が生じたじゃないの

空即是色 万象は空であり 滅しつつ生じつつある色のingであり
空は否定で空の反復は否定の否定であり 
否定の否定の否定の否定は大肯定のどんでんがえし

文明も現実も信念も自我も人格も思考も哲学も人間のつくる幻想で無明だが
その幻想を否定する理性もまた幻想だが
生き物は空を生き人間は言葉の代償に空から放り出されて
幻想という無明を旅しているのだが さんぞう


人は空のふるさとに帰ることができる
行深般若波羅密多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 
人は山川草木のふるさとに成仏できる

空をみつめ 空のせつなさに帰るしかないじゃないの
幻をはなれ 幻のふるさとで創るしかないじゃないの
言葉をこえ 生のよろこびを歌うしかないじゃないの

何 それもまた無明じゃない? 幻想じゃないのと?
あふー是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識
あふーあふーあふー

| | Comments (1) | TrackBack (0)

March 29, 2008

不垢不浄論序


あらかみさんぞう


お前ね 汚れたことのない人に清らかさなんてわかるわけないだろ
間違えることのできない人にクリエイティブなんてとても無理だろ
失敗したことのない人に再チャレンジなんていわれたくないだろう
あのね あいつを厭らしい厭らしいというのは、おまえが厭らしい
何よりの証拠だろ おまえが厭らしくなければ厭らしさを気にする
こともないんだからね あいつを異常だというか それならお前も
異常なんだなやっぱり 何 オレは人を騙すようなことはしない?
スカートの中を覗いたりしない?無力な子供を虐めたりしない?人
になんにも話させないでひとりで会議を仕切ってしまうようなこと
は絶対しない?そんなのは 強盗が詐欺師に腹を立ててるようなも
のじゃないかバッカだな え そういうお前こそバッカじゃないか
だって?目くそ鼻くそだって?ワッハッハッハッハッハ是諸法空相
不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意

| | Comments (1) | TrackBack (0)

March 19, 2008

花ざかりじゃないの

あらかみさんぞう

いいかげんにして
天候の挨拶なんてやめて
昨日の反省会なんてどうでもいい
それより歌って

じれったいね 
船はどんどん沈んでいくのに 
もうすぐおぼれ死ぬかもしれないのに
今をまるごと生きなくてはならないときなのに

しょうがないひとね
あなたには今しかないの
他人まかせにはできないの
神さまなんてやって来ないの

是諸法空相
ことばは幻想を生み
どこを裏返してみても幻想
罠だとわかっていても嵌まってしまう罠

だからいってるじゃないの色即是空
そこにトンネルを掘るしかないじゃないの
その徒労を生きるよろこび歌うしかないじゃないの
その虚無を歌って反転させるために生まれてきたのじゃないの

歌え歌え咲け咲けみだれ咲け 
さくら花 さくら花 
空即是色のどんでんがえしの
花ざかり 花ざかり

 

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 17, 2008

如是我聞 のうた

  あらかみさんぞう

  1、坐る


  坐禅の坐の字は
  人と人が土の上に向かい合うと書く

  坐るのは
  出会うこと

  やっぱり
  見えてきた

  その声が
  聴えてきた

  私が修羅なら その男は菩薩である
  私が菩薩なら その女は修羅である


| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 13, 2008

林檎の木と皿の伝言


あらかみさんぞう 


また
出かけるの
遠くまで行くの
幻を追いかけ
這いまわるの
そう

じゃ
この林檎の木の苗をあげる
水やりを忘れないでね
迷ったら木のほとけに聞いてね
眠る前に家中のお皿を空っぽにして並べておくといいね
幸せが盛りつけられるかどうか楽しむのね

こんどは
アタマの無駄遣いをやめなくちゃ
考えても仕方のないことは考えないようにしなくちゃ 
コトバの毒には気をつけなくちゃ
悩みを悩ませ 病気を引き寄せ 無明に踊らせ
あなたのいのちを傷つけるから

イヤなやつとかダメな私とか  
そんなことできるわけないよとか 
またやっちゃったとか  
もう絶望だとか 
私はひとりぼっちだとか
すぐにスタンプを押すのはやめなくちゃね

怖れなくていいの
苦しみはよろこびのためにあるのだから
壊れるたびにあなたが生まれているのだから
死を経験することはあなたにはできないのだから
ただ今を生きるよろこびをわれを忘れて生きるのだから

愛するひとの喜びをよろこびなさいね
そのひとの苦しみをくるしんではいけないのね
冷たいひとはあなたを求めているのね
怒ってるひとは必死にあなたを求めているのね
欲しがらなければ傷つくことはないのにね

目の前のひとに生きものに物ごとに
あなたを捧げてしまうのね 
なにもかもあげてしまうのね
え なんのために? なんのためでもない目的なんてない
え いいことある? なんにもない

むかし印度から達磨大師がやってきた
仏教に帰依し寺院を建て僧を育成した梁の武帝が訊いた
私にはどんな功徳があるか 
どんな御利益があるか
達磨は答えた 
無功徳 なにもない

武帝はむっとした 
では 仏教とは何なのか
達磨は答えた 
廓然無聖 
聖も俗もない空っぽ 
雲一つない青空のようなものですよ

武帝はむかっ腹をたてた
お前はお前は一体ナニサマだ 
達磨は言った 
不識 わしゃ知らん 

今日はいい日だね
今日は出発日和だね
遠くまで
行ってらっしゃい

雲一つない青空が広がっている
明日は世界が滅びるかもしれない
それでもあなたは林檎の木を植える
空っぽのお皿が並べられる
そこになにが載るのか載らないのか 
誰も知らない   

あらかみさんぞう2007

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 12, 2008

あらかみさんぞう詩と俳句とエッセイ

あらかみさんぞう詩と俳句とエッセイとしてブログを再開します。
また読んでもらえるとうれしいです。

詩集「暗夜飛行」を上梓後も、いろいろの作品を書きました。
いろんな人からいろんな言葉をもらいました。

あらかみさんぞう「生き方塾」という講座を鎌倉で毎月一回開いています。
自分が学ぶため、といったほうがいいかもしれませんが。

そのほかいろいろやっています。
俳句は去年12月から始めました。

なにしろ好きなこと、好きなとき、好きなように、の私ですから
自分でも先の予測はできないところがあります。

というわけで、書き込みを歓迎します。


         あらかみさんぞう

| | Comments (1) | TrackBack (0)

May 17, 2006

14、にらめっこ

 

 さびしくてたまらなくなったら
 にらめっこしましょう
 あっぷっぷ!

わらわないで めをそらさないで
まっすぐにおたがいをみつめてみましょう
はずかしかったらはずかしさをかんじながら
ばかばかしいとおもったらばかばかしいとおもいながら
それでもまっすぐにあいてをみつめてみましょう

はじめてめとめがあうとドギマギするでしょう
でもそのときじぶんにむけられたしせんをうけとめてみましょう
するとそのときじぶんもしぜんにあいてをみつめているでしょう
あなたがみつめるときしぜんにあなたはみつめられているでしょう
じーっとみつめるとやっぱりじいーっとみつめられているでしょう

 じぶんをすきになれなくなったら
 にらめっこしましょう
 あっぷっぷ! 

へんけんをすて かんがえるのをやめ 
まっすぐにおたがいをみつめてみましょう
みつめるあいてもみつめられるじぶんもうけいれながらみつめましょう
いつのまにかあなたのこころをとざしていたものがとけていくでしょう
よわいじぶんもにげたいじぶんもきらいなじぶんもきえていくでしょう

みつめみつめられてこころはふかくやすらいでいるでしょう
ふたりのこきゅうもこどうもぴったりシンクロしているでしょう
もうわたしとあなたというくべつさえつかなくなっているでしょう
わけもなくなみだがあふれてきてもただふかくみつめあっていたいでしょう
あたたかなふたつの「いのち」と「いのち」になってみつめあっていたいでしょう

 もうさびしくなんてないね
 もうひとりぼっちじゃないね
 あっぷっぷ!

| | Comments (1) | TrackBack (0)

13、にょらい

はんがんの
ぼさつに
なりなさい

とおくまで
どこまでもどこまでも
いきなさい

さびしくなったら
なんどでもなんどでも
かえってきなさい

いってかえりを
くりかえしくりかえしくりかえして
にょらいになりなさい

| | Comments (0) | TrackBack (1)

12、恐竜

 恐竜

あふう
 あふう

まもなく
孵化します

 あふう
 あふう

殻の中で
ぼくが目ざめます

 あふう
 あふう

まもなく
恐竜が出てきます

 あふう
あふう

| | Comments (0) | TrackBack (1)

May 10, 2006

11、花と君

 花と君


花があまりに
不思議なのに驚いた

君があまりに
美しいのに驚いた

花は君
君は花

花は君のように美しい
君は花のように不思議

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«詩集 暗夜飛行 Ⅱ