28、春、このとき
春、このとき
きのう気づかなかった
小さな雑草の花が咲いただけで
どうしてこんなに嬉しくなるのだろう
夜のうちにつくられた
もぐらの山の柔らかな感触が
どうして足の裏を心地よくするのだろう
堆肥の藁の下に甲の幼虫をみつけたら
きみはきっと子供のような
声をあげるだろう
丘のうなじが光ってみえるだろう
雲の上の青の深さに
気持ちが吸い寄せられるだろう
春、このとき
ぼくは自分を開けっ放しにして
満ちてくるものを受けとるだけだ
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