« 31、君に | Main | 愛のアキーラ »

March 25, 2005

32、いのちの便り

   いのちの便り   あらかみさんぞう


ミケランジェロはなんの変哲もない石の塊のなかに
ダビデとピエタを見い出した

絵は板のなかに宿っている
私はただ板が言うことをきいているだけだ、と棟方志功は言う

理論物理学がカオスと見なすものの中に
詩人は秩序をみつける

木の絵山の絵が人を感動させるとしたら
木の仏山の仏が画家を通して現れたときだけだ

アタマで計算されただけの表現に力はない
つくられた価値の模倣は細工師の仕事だ

無意識のカオスの奥から届けられたいのちの便り
それだけが私たちを激しくゆさぶる

それは論理でも科学でもない 
魂のみなもとへ身を投げかける者が受けとる美の贈りものだ


|

« 31、君に | Main | 愛のアキーラ »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 32、いのちの便り:

« 31、君に | Main | 愛のアキーラ »