もし
もし、ぼくらが、
誕生の記憶に縛られていなかったら
不安や恐れや孤独を知らなかったら
自分という眼鏡を外して、
曇りない視線で世界を見ることができたら
この星に初めてやってきた宇宙人だったら
目の前にいるあなたの
不思議さ、美しさに気づいただろうか
かなしさ、醜くさに踏み迷うことはなかっただろうか
刻々に死に
それによって刻々に生まれている
生きものへの驚きと共感に満たされて生きただろうか
ひとつひとつの
奇蹟のような出会いの行方を
生きてる限り味わい尽くそうなんて考えただろうか
物質的利益や精神的価値よりも
生の跳躍の一瞬に己を捧げようとして、その結果
愚行の上に愚行を重ねるようなこともなくなるのだろうか
この世の切なさ美しさを知ることのできるのは
この世の現実を背負っている
ぼくらだけではないだろうか
この世の美しさと悲しさを背負っているぼくらだけが
人の弱さも、醜さも、悲しさも知りながら許し合い
ともに演じ切ることができるのではないだろうか
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